皆さんminoriというエロゲメーカーをご存じでしょうか?
正直言って知らない人のほうが多いと思います。
なぜならそもそも企業理念が「minorityであれ」だからです。
minority=少数派という意味なので有名ではなくて当然です。
世の中の当たり前に一投を投じたmiroriの作品は普通に生きていると見落としてしまう大事なものをとらえた繊細で人の心を揺れ動かす作品となっています。
minori作品の特徴
・インタラクティブノベルである
従来の「主人公=プレイヤー」というスタイルではなくいわば映画の顧客のようなスタイルで
物語を紐解いていくことになります。
小説を読んでいるような感覚で登場人物の取り巻く「物語」をそっと外から覗いている気分です。
・非常に丁寧な人間描写
漠然とした不安と前へ進むことの恐れ、真っすぐな思いを伝えることの難しさ、夢を持ち努力することの大変さ、失うからこそ大切にするということ、突き付けられる重く受け止めがたい真実とそれを受け止めることの困難さ。
誰もが一度は抱えたことがあるような心の葛藤、辛い現実から逃げずに真向から立ち向かっていてminori作品ではそれらを高い純度で描きながらも真に迫った内容となっています。
それはまさにガラス細工のような繊細さで登場人物の感情がひしひしと伝わってきます。
・美麗なグラフィック、数多いCG枚数、惜しみない演出
それぞれの場面に適して余すことなく敷き詰められたCGの差分の数々。
表情が本当に豊かでキャラクターの思いがダイレクトに伝わってきます。
真剣な場面では刃のように突き刺す目を、楽しい場面では惜しみない笑顔を、悲しい場面ではくしゃくしゃに泣くような様子をつぶさに描いています。
また瞬きや口の動き、体勢が変わるなどとにかくキャラクターがよく動きます。
キャラクターがそこにいるのがあまりに自然で画面のどこを見ても不満な点が見当たりません。
・とても繊細で情緒的なBGM
登場人物の感情をそのまま音として表現したようなとても繊細で綺麗な旋律。
ピアノやヴァイオリンなどが特徴的で心の芯に響かせます。
それらはより作品に没入し、感情移入することを駆り立てます。
・ヒロインの「想い」の吐露シーンがある
minori作品ではヒロインが主人公にナイフを突き立てるような心の叫びを吐露するシーンがあります。
wind a breath of heart の問い詰めシーンが有名なんですけど実に10分以上にわたってヒロインが主人公に想いの猛りをぶちまけます。
この間主人公は一言も喋らず一方的にヒロインが主人公を責め立てるんですよ。
それはメンヘラかと思うくらい凄まじいものですがだからこそ心に刺さるものがあります。
・メッセージ性が強い
各作品にはminoriスタッフが伝えたい想いがあります。
例えばefでは前へ進むことは簡単なことではないけれど必ず手を差し伸べてくれる誰かがいて、希望ある明日へと向かう姿を描いています。
いずれも共通するものですが「強く生きる」ということを教えられる内容になっていて前へ進むことに背中を押してくれるような、勇気づけられるものになっています。
とにかく プレイヤーがゲームに感情移入するために限界まで挑戦していてスタッフの惜しみない努力と情熱を感じました。
minoriのおすすめ作品
私はefをアニメで知ってから原作であるminoriに興味を持ったのですがそこから沼のようにハマりました。
ハマった私が特におすすめする作品は以下の5つです。
ef the first tale+latter tale(2008年)
群像劇になっていてキャラクターそれぞれの視点で物語語られるのですが最後に全てが繋がっていく盛り上がりは言葉にならない感動を覚えました。
各々のキャラクターにそれぞれの「真実」がありそれに立ち向かう様子が描かれます。
eden(2009年)
物語は大きく2編に分かれていて前編では戦闘やSFミリタリー要素マシマシの展開で後半はシオンと二人っきりの山小屋生活が始まります。
料理も着替えもままならない箱入り娘同然のシオンとしっかりものの主人公、そんなギャップのある二人の日常が描かれるのですがこれがすごい癒しです。
泣きゲーともいわれておりますが牧歌的な雰囲気もいいですよ。
・はるのあしおと(2004年)
東京で教員を目指していたが失敗し逃げるように故郷に帰ってきた主人公。
小さな田舎町にある小さな学校で主人公は代理教員として雇われ、そこで出会う少女達との関わりから生まれる物語。
それぞれが違う悩みを持ち、同時に変わりたいという想いを持っています。
主人公との邂逅をきっかけにどのヒロインも最後には勇気ある決断を下し、主人公と共に成長していきます。
・wind a breath of heart(2002年)
6年ぶりに生まれ故郷の風音市に帰ってきた主人公の真と幼馴染のみなも、そして不思議な能力を持った風音市の人たちとの出会い。
ストーリー中盤まではみんなで海に行ったり祭りに行ったりで普通の内容だが終盤衝撃的な展開を見せる。
終盤が超展開と揶揄されたり、一部ヒロインの感情変化が急激で感情移入がしづらかったりとご都合主義なところもあって難ありな部分も多数あるが最後の演出と同時に流れる挿入歌は個人的に泣けました。
クセがかなり強いので評価がかなり分かれると思います。
・bitter sweet fools(2001年)
minoriの記念すべき第一作。
芸術と歴史に彩られた町イタリアのフィレンツェを舞台とした物語。
様々な宿命を背負った少女達、闇社会の中強く生きる人々が織りなす群像劇を描いています。
物語は非常に良質な雰囲気に包まれていて物語は時に温かで緩やかな日常を、時に厳しい現実を如実に描いています。
minori作品の中で雰囲気が一番好きで憧れている作品です。
おわりに
以上になりますが一作一作に魂がこもっていて、いずれの作品もスタッフの強い想いが伝わってくるものになっています。
いずれも一味ふた味違うminori作品をぜひプレイしてみてはいかがでしょうか。
ここまでご拝読いただきありがとうございました。